Race 10 Fuji Speedway 9 - 10 Dec. 2017

近藤選手が念願の年間チャンピオン獲得
谷口選手の猛攻をしのいで2位

第10戦の舞台は富士スピードウェイ。プロフェッショナルシリーズのエントリー台数は35台。前戦・鈴鹿が台風で中止となり、代替戦は行われなかったため、近藤選手はランキングトップ(87点)のまま。佐々木雅弘選手(1号車)が3点差で2位につけており、第10戦は年間チャンピオンをかけた戦いとなる。なお小河選手の76号車は、第6戦十勝で受けたアクシデントの修復が間に合わず、今回も欠場。小河選手は会場に駆けつけ、チームともに近藤選手を応援した。

年間チャンピオンは全10戦中7戦分の有効ポイントで決定する。近藤選手(87点)は7戦で得点しており、その中で一番下位の順位である6位を上回らなければ、有効ポイントは増えない。対する佐々木選手(84点)は5戦分の得点で、今回入賞すればポイントを上積みできる。近藤選手が年間チャンピオンを獲得するためには、6位を上回る順位でフィニッシュし、佐々木選手に対して4点差をつけることが必須となる。

土曜日の予選は通常よりも短い10分間。9時50分に予選が開始され、近藤選手は残り約5分でコースイン。それまでのトップタイムは服部尚貴選手(60号車)の2分03秒533だったが、近藤選手はそれを上回る2分03秒263をマークしトップに。昨年の特別戦(富士スピードウェイ)で記録した自身のレコードタイム(2分04秒481)を縮め、ポールポジションを獲得。佐々木選手は16位と予想外に伸び悩んだため、近藤選手の年間チャンピオンへの期待が膨らむ。しかしランキング3位(74点)の青木孝行選手(31号車)が4位につけているため、油断はできない。

近藤選手がファステストラップを記録。チャンピオンに向けて意地の走り

日曜日の決勝は快晴。35台がグリッドに並び12時14分にレーススタート(10周)。近藤選手は順調にスタートを切り、2位の服部尚貴選手(60号車)と3位の谷口信輝選手(82号車)に挟まれながら1コーナーに進入。1コーナーの立ち上がりで服部選手が近藤選手の前に出る。しかし近藤選手はコーナーごとに服部選手の隙を伺い、最終コーナーで服部選手のインをつき、再びトップに浮上。近藤、服部、青木という順でオープニングラップを終える。佐々木選手は13位と入賞圏外に沈んでいるため、青木選手との位置に注目が集まる。

近藤選手はこのまま逃げ切りたいが、青木選手が2周目のコカコーラコーナーで服部選手をパスし、さらに近藤選手との差を詰める。周を重ねるごとにその差は縮まり、5周目の1コーナーで青木選手に抜かれてしまう。近藤選手は青木選手を抜き返そうと必死にプッシュ。6周目にファステストラップ(2分04秒746)を記録する。

このまま近藤選手が2位でチェッカーを受ければチャンピオンが確定するが、簡単にそうはさせてくれない。近藤選手の背後には3位に順位を上げた谷口選手が迫っており、7周目からは谷口選手とのマッチレースに。谷口選手はベテランの経験と腕で、コーナーごとに近藤選手の隙をついてくる。もしここで谷口選手に抜かれ、青木選手がトップチェッカーとなれば青木選手がチャンピオンとなってしまうため、近藤選手は是が非でも2位を守らなければいけない。

青木、近藤、谷口の順で迎えた8周目。谷口選手はホームストレートで近藤選手にピタリとつき、1コーナーへ。近藤選手は2位をキープするが、谷口選手はコカ・コーラコーナーでさらに近藤選手に迫り、ダンロップコーナーで仕掛けてくる。しかし近藤選手は必死に谷口選手をブロック。2台はテールトゥノーズのまま9周目に。

そして迎えた最終ラップ。谷口選手は残る力を振り絞るかのように1コーナーから激しく近藤選手にプレッシャーをかける。しかし近藤選手はミスをすることなく2位を走行。アドバンコーナーに続き、ダンロップコーナーでも近藤選手の横に谷口選手が並ぶが、近藤選手はインを守り、谷口選手を前に行かせない。さらにその先のコーナーで2台ともオーバーランギリギリまで攻め合うも、最終コーナーで近藤選手が谷口選手を離し、2位でチェッカー。佐々木選手は11位で、青木選手も近藤選手のポイントに届かず、近藤選手の年間チャンピオンが決定した。

応援に駆けつけた市川英治神奈川トヨタ代表取締役社長は「これまでで一番ハラハラしたしたレース。翼だけではなく、チームを支えたメカニックも誇りを持っていい。年間チャンピオンという5年越しの夢が達成できて本当に良かった」と喜びのコメント。「今シーズンは安定して上位を獲得することができた。これは大きな自信」と磯貝敏一監督。

「波乱万丈の1年だった。最後の最後にポールトゥウィンを逃したけど、ライバルに対して何かが少しだけ足りないのだと思う。まだまだ課題はある」と額田信明プロジェクトリーダー。ディーラーのスタッフのみで1年を戦い抜き、最高の成績を記録した神奈川トヨタDTEC TEAM MASTER ONE。残る目標はワンツーフィニッシュだが、まずはチームの快挙を喜びたい。

Result
car driver pos. total best lap
76 R.Ogawa - - -
97 T.Kondo 2 20'59.535 2'04.746
Drivers' Comment
97号車 近藤翼選手

ポールトゥウィンを逃したのは悔しいですが、最後の最後まで走りきり年間チャンピオンを獲れて良かったです。谷口選手のプレッシャーにも打ち勝つことができました。開幕戦から表彰台に上がれ、1年間上位を維持できたのは、メカニックをはじめチームみんなのサポートがあってこそです。本当に感謝しています。