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混戦の富士に乱されて勢いが生かせず
小河選手7位、菊地選手12位に終わる

 歓喜の優勝から、わずか2週間。舞台は岡山から、再び富士スピードウェイへと戻ってきた。今シーズン、富士スピードウェイでの開催は4回目。前回の第6戦ではダブル表彰台という輝かしい戦績を残した。つまり2戦連続で表彰台を獲得し、1位から3位までの3つのポジションを得たことになる。
 とくに2位、そして優勝と、波に乗る小河諒選手は、谷口信輝選手や山野直也選手とともに注目されるドライバーの仲間入りを果たした。そしてもちろん、今回のレースでも、菊地靖選手とともに、優勝候補の一角となっていた。
 2台ともに高い戦闘力を持つ神奈川トヨタ☆DTECチーム・マスターONEへの注目も高まっていた。
 秋に近づきつつあった富士スピードウェイの天気は、コロコロと安定しないものだった。そもそも富士山の麓という場所だけに天気の変化は大きいが、そこに季節の変わり目が追い打ちをかけた形だ。気温はとくにタイヤの性能に対して大きく影響する。結果として路面温度によって、サスペンションのセッティングを変更しなければならない。
 
 土曜日の予選は、涼しい天気だった。路面温度は22度しかなく、タイヤは発熱しにくく、グリップ力を十分に発揮できない可能性もある。
 予選1組には有力選手が集まり、激戦が予想されていた。開始早々にトップタイムを出したのは第4戦富士スピードウェイで優勝した織戸学選手で、それを追いかける展開。しかし谷口選手も山野選手も、それに届かない。そして小河選手も4位となった。ただし、そのタイム差はかなり拮抗しており、織戸選手から13位までが1秒以内という激戦だった。
 菊地選手が戦った予選2組もまた、第6戦富士スピードウェイで優勝している青木孝行選手が早々とトップタイムを出し、更新していく。続く2位は目まぐるしく入れ代わるが、しかし菊地選手は8位に終わった。2組でもやはり、12位までが青木選手から1秒以内という接戦となった。
 富士スピードウェイはいつも大量のエントリーを数える。今回も91台のエントリーがあり、実際に予選は1組が45台、2組が40台が走った。スローダウンしているマシンや、タイミングを計るマシンなど、レースのような全員が全開走行というのとは異なるので、どうしてもコース上は混雑してしまう。予選上位で得るには、クリアなラップを取る、という運も必要だったのだ。
 
 今回のレースのひとつの注目は、新しいタイヤを投入してきたグッドイヤーだった。R3スペックと呼ばれるニュータイヤは、ドライでのグリップ性能を重視したキャラクターで、気温の高かった金曜日の午前中にはトップタイムに肉薄する速さを見せていた。予選は涼しく、それほどの好タイムは出ていなかったが、もし気温が高くなれば脅威になる可能性があったのだ。
 日曜日は日差しが差し込み、路面温度は30度を超えた。しかしグッドイヤー勢は、まだタイヤとのセットアップが十分でないのか、ニュータイヤの性能を引き出すことができなかったようだ。
 レースはポールポジションからスタートした織戸選手が伸びず、1コーナーで青木選手がトップに立ち、その青木選手をコカコーラコーナーで谷口選手がパス。そこから今シーズン、圧倒的な強さを見せる谷口選手が、ジリジリと後続を引き離していく。2周終了時点で約2秒の差を作り上げた。
 小河選手は9番グリッド、菊地選手は16番グリッドからのスタートだった。小河選手は上手くスタートダッシュを決め、2周目には6位へポジションを上げることに成功した。しかし3周目の最終コーナーの立ち上がりで、2速ギヤに入らなくなるトラブルが発生し、後続のマシンに抜かれてしまい、9位に順位を落してしまった。一方の菊地選手は激しく争う集団の中でレースを戦っていたが、前に出るチャンスは多くなかった。
 5周目に100Rでスピンしたマシンがコースを塞いでしまったため、セーフティカーが導入された。しかし8周目の再スタートを谷口選手は上手く処理し、ペースをキープして2位に上がってきた織戸選手を抑え、優勝を飾った。3位には山野選手が入り、青木選手は4位となった。これによって、谷口選手のシリーズチャンピオンが決定した。
 再度追い上げを狙っていた小河選手だが、トランスミッションのトラブルから解放されたわけではなく、結果として7位でレースを終えた。菊地選手は12位までポジションを上げた。
 今回は残念な結果に終わったが、残りは2戦。巻き返しを図り、もう一度栄冠を手にしてもらいたい。