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レースペースで十分な速さ
予選の低迷が大きな課題

 大きな成功を得るには、何かがカッチリとかみ合わないとダメなのかもしれない。神奈川トヨタとDTECチーム・マスターワンには、そのかみ合うタイミングを前に、生みの苦しみが今、訪れているのか??
 前戦に続いての連続開催となった第4戦富士スピードウェイ。梅雨入り直後の豪雨の中、レースウィークは始まった。一気に下がった気温、降り続く雨、天候の急激な変化もまた、レースを難しくしてしまった要因のひとつだろう。
 2カーエントリーでパワーアップしたDTECチーム・マスターワンは、開幕戦ツインリンクもてぎで菊地靖選手が6位になったものの、その後は目立った成績を残せていない。むしろリザルトは低迷しているのが現実だ。
 レース前日となる金曜日に富士スピードウェイに到着したDTECチーム・マスターワンだったが、あまりの雨量に走行が中断されるなど、思ったほどの走行をすることはできなかった。気になる天気は、予報では予選の土曜日は雨、決勝レースの日曜日は曇り時々雨というものだった。
 天気が変わればセッティングやタイヤの特性など、さまざまな部分が影響を受ける。つまり、それだけ波乱が起きる可能性が高くなる。その波乱を生かして前で出るのか? それとも波乱に翻弄されてしまうのか?

 土曜日の予選は、やはり雨だった。いつもは一発勝負でタイヤを温存する上位陣も、この日は気温も低く、タイヤの磨耗を気にする必要がないので、ほとんどのマシンはコース上に留まり、そのままタイムアタックを続け、少しずつタイムを削っていった。その結果、予選のコース上はいつまでも空くことなく混雑が続き、クリアラップを取りにくい情況になってしまっていた。
 DTECチーム・マスターワンの2人のドライバーは、その中で速さをタイムに結びつけることができず、76号車の菊地靖選手は予選1組11位、97号車の小河諒選手は予選2組11位となってしまった。スターティンググリッドは、ともに11列目。これは富士スピードウェイの23列あるグリッドの真ん中ということになる。
 性能差の小さいワンメイクレースでは、オーバーテイクは難しく、予選順位が大きな意味を持つ。それだけに、今回の予選結果はとても厳しいものだった。

 マスターワンがサポートしている、いわば3台目のマシン、75号車の松代耕二選手は、その混乱した予選で上位45台に紙一重で残れず、決勝レースBへの出場となった。ポールポジションからスタートした松代選手は、安定した走りでリードを築き、そのまま1位でチェッカーフラッグを受けた。安定感のある走りは、まさにヴィッツレースで数々の勝利を手にしてきたベテランの雰囲気は十分だった。

 決勝レースAが行われた日曜日、空はやはり雨模様だった。1時間前にはスコールのような強い雨が降り、ヘビーウエットになるかと思われたが、しかしそれはすぐに止み、レースがスタートする頃には、1コーナー周辺を除いてコース上はドライとなった。スタートグリッドの11列目に並んだ2台は、そのままの順位でスタートした。1周目を終えた時点で、97号車小河諒選手が23位、76号車菊地靖選手が24位。そのまま2台は連なって前車をオーバーテイクしていく。5周目終了で、小河選手が19位、菊地選手が20位となった。
 2台のレースペースは、上位陣に匹敵するようなタイムであり、十分に速い。しかし混雑した中盤を抜け出すのは、そう簡単ではない。すんなりとオーバーテイクできる場面は極めて少なく、もしオーバーテイクに失敗すれば、後続のマシンとの差が一気に詰まることになり、再度のチャレンジが遠のいてしまう。
 最終的に、小河選手が14位、菊地選手が19位でチェッカーフラッグを受けた。
 次戦は6月とはいえ、梅雨とは無縁の北海道・十勝スピードウェイで開催される。北海道の初夏、抜けるような青空の下、悪い流れを断ち切った戦いを期待しよう。