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予選の大きな波乱から本領発揮できず しかしレースでは初の6位入賞を果たす

霧による視界不良で大幅に遅れてしまった土曜日の予選。九州のモータースポーツの聖地である大分県のオートポリスは阿蘇外輪山の中にあり、霧が発生しやすい。本来なら昼前にスタートするはずだった予選は、夕方までスライドしてしまった。
ウエットの路面は、DTECチーム・マスターワンと坂本選手にとって、得意なコンディションのハズだった。実際、予選終盤までは6位のポジションをキープし、残り時間は3分になっていた。その時、コースアウト車が弾き飛ばしたであろうスポンジバリアがコース上に出るというアクシデントが発生し、予選は赤旗中断。コースを整備後、残り時間5分から再開されることになった。その5分にコースインする時間も含まれるため、事実上1度しかタイムアタックできない。
雨が弱まったこともあって、ほとんどのマシンがタイムアップを果たす。坂本選手も一発勝負のタイムアタックに入るが、遅いマシンに行く手を阻まれてしまった。アタック前にある程度のスペースを作っておいたとしても、1周10秒も遅いマシンとなると、さすがに追いついてしまう。
結果としてタイムアップすることができず、予選は12位となった。雨という得意なコンディションを生かすことができなかったのだ。


翌日、予想された霧は晴れ、曇天の下で決勝レースは行われた。路面温度が低く、タイヤへのダメージも少ない。
ポールポジションは谷口選手。彼はヨコハマタイヤを使用していて、今シーズンの86/BRZレースで初めてブリヂストンタイヤ以外でのポールポジションを獲得したことになる。開幕戦以降、ブリヂストンタイヤが圧倒的な強さを見せてきたが、今回のオートポリスでは、ダンロップタイヤとヨコハマタイヤの性能向上が明確になったといっていいだろう。
実際のレースは、すでにチャンピオンを決めている山野選手がスタートからトップを走るという、いつものパターンで始まった。しかし今回は、いつものように2位を引き離せずに、一定の距離で進んでいく。そして9周目、ミッショントラブルが発生し、山野選手はマシンをコース脇に停めリタイヤした。
トップに立ったのは、今回スポット参戦していた平岡選手。ヴィッツレースのチャンピオンを獲得するなどの経歴を持つ選手だ。そのまま蒲生選手を従えて、今シーズン3人目の優勝者となった。


坂本選手はスタートで12位から9位へとジャンプアップ、その後も順調にオーバーテイクしていく。 2周目の1コーナーでオーバーテイクして8位になると、4周目には7位、6周目には6位へ、確実にポジションアップして、ついに入賞圏内へ。9周目にトップの山野選手がリタイヤするが、その周回で元嶋選手にパスされて、結果6位のポジションは変わらなかった。
3位争いは織戸選手と富澤選手、そこに追いついた元嶋選手で白熱していたが、織戸選手のペースがとても悪く、坂本選手も集団に追いつくことができた。もちろん3位争いの集団に位置するのは、今シーズン初めてのことだった。
結局はポジションを上げることはできず、6位でフィニッシュ。シリーズポイントは9ポイントを獲得し、16ポイントにまで伸ばすことができた。
最終戦はツインリンクもてぎで開催される。尻上がりに調子を上げてきたDTECチーム・マスターワンと坂本選手は、どのような輝きを見せてくれるだろうか。